捻転差が上手くできるようになると球速アップが期待できます。
また、捻転差ができるようになることで怪我の予防にも繋がります。
球速アップしたい投手や球速アップさせたい指導者の方はぜひ最後までお読みください。
捻転差とは?
捻転差とは並進運動から回転運動に移行していく瞬間に下半身が先に回転し、上半身が遅れて回転する時に生まれる動きのことです。
具体的に、下半身はホーム方向に回転している状態で、上半身は回転せずに三塁方向を向いている状態です(右投げ)。
一瞬の動きですがこの動きができているかどうかで球速に影響が出る可能性が高いです。
捻転差を作るために
では、捻転差を作るために何が必要なのか説明していきたいと思います。
グローブ腕の使い方
捻転差を作るために、グローブ側の腕の使い方が大事になります。
グローブの親指側を下に向けながら(捻りながら)伸ばすことで、グローブ側の腕が内旋し、肩甲骨の動きを抑えることができるので肩の開きを遅らせることができます。
(写真はわかりやすくするためグローブをしていない状態です。)
ホーム方向にグローブを出していく時に、グローブもしくは肩越しに投球する場所を見て、狙いを定めるようにすることでコントロールアップにも繋がります。
グローブ側の腕の使い方に関しては以下の記事と動画内でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
上半身の意識
上半身の回転を遅らせようと、上半身に力が入ってしまっていると捻転差が生まれにくくなります。
さらに、上半身を開かない意識をしすぎると回転運動の邪魔をしてしまい、逆に球速が出にくくなる可能性もあります。
上半身は力を抜き、無意識に自然な動作の中で捻転差を作ることが大切です。
そのためには連動性と柔軟性が必要になります。
以下の動画では捻転差についてトレーナーの大井さんが解説してくださっているので合わせてご覧ください。
必要な柔軟性
筑波大学体育系准教授である川村卓先生は著書の中で「上半身をひねるという動作」について以下のように述べています。
上半身をひねるという動作は、解剖学的には腰椎でなく胸椎によって行われます。胸椎は肋骨とつながって胸郭を形成しますが、細かな筋肉が多いためメンテナンスも複雑です。
・川村卓:最新科学が教える!ピッチング技術、株式会社エクシア出版、2020年11月28日、60-61頁
胸郭とは具体的に言うと、12個の胸椎、12対の肋骨、1個の胸骨から構成される籠状の骨格のことを示します。
骨も細かく多いので細かな筋肉も多くなります。
そのため、川村先生も述べているようにメンテナンスも複雑になります。
柔軟性が高ければ捻転差が作りやすくなります。
胸郭の柔軟性は球速に直結していると言っても過言ではありません。
以下の動画では鍼灸整体師の濱田先生が胸郭の使い方について解説してくださっています。
合わせてご覧ください。
胸郭の柔軟性を獲得するために
胸郭の柔軟性を獲得するために必要なストレッチやトレーニングを紹介します。
普段の練習や自主練習にぜひ取り入れてみてください。
最後に…
今回は捻転差について説明しました。
捻転差を作ることができていないと下半身と上半身が一緒に回転してしまうため、体の開きが早くなり、手投げや球速が出ない原因になる可能性が高くなります。
その状態で球速を上げようと無駄に力を入れて投球することで、肩肘に負担がかかり怪我をする可能性も上がってしまいます。
フォームの中で自然な捻転差の動きを身につけることができるようにストレッチやトレーニングなど行ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
・川村卓:最新科学が教える!ピッチング技術、株式会社エクシア出版、2020年11月28日