この記事ではどのような動きのことを、「並進(併進)運動」、「回転運動」というのか詳しく説明していきます。
実際にどのような動きがボールに力を加える動きか理解することで、よりボールに力を伝えるイメージがしやすくなると思います。
また言葉の意味を知っておくことで、指導するときによりわかりやすく専門的な説明ができるように、そして指導してもらうときにもより理解ができるようになり、フォームにも落とし込むことができる可能性が高くなります。
ぜひ最後までこの記事を読んで、「並進(併進)運動」、「回転運動」について勉強してみてください。
「並進(併進)運動」という言葉の意味
質点系または剛体の運動のうちで、回転・変形せずに各点の同一の平行移動だけから成る運動。
【参照】https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/content/17649_350
これは物理においての「並進(併進)運動」の説明なので難しい言葉が並んでいますが、投球に置き換えて考えるとステップ(体重移動)をしているときに「並進(併進)運動」が行われていることになります。
「回転運動」という言葉の意味
物体または質点系が相互間の相対的位置を変えず、一定直線(回転軸)の周囲を回転する運動。
【参照】https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/prefix/%E5%9B%9E%E8%BB%A2%E9%81%8B%E5%8B%95
こちらもまた物理においての「回転運動」の説明です。
投球においてはレイトコッキングからフォロースルーまでで骨盤から回転が始まり、フォロースルーで体が回転しきるまでが「回転運動」になります。
「運動」=「力」
運動によって力を生み出すことができます。
その生み出された力を、いかにロスなく、大きな力を伝えられるかによってボールの威力も変わります。
正しく「並進(併進)運動」、「回転運動」が行われていれば、ボールに伝えられる力も大きくなります。
正しい「並進(併進)運動」とは
「並進(併進)運動」=回転・変形せずに各点の同一の平行移動だけから成る運動
投球フォーム内でいうと、ステップ局面で体重移動を行う際に「並進(併進)運動」が行われています。
インステップし過ぎていたり、アウトステップし過ぎていると正しく「並進(併進)運動」が行われないので、しっかり投球方向に力を伝えることができません。
そして最も重要なのが「並進(併進)運動」と同時に「回転運動」を行わないことです。
ここで「並進(併進)運動」しながら「回転運動」を行ってしまうと何が起こるかわかりますか?
「並進(併進)運動」をしながら「回転運動」をしてしまうと、体の開きが早くなります。
そうなると、肩肘に負担がかかりやすく、球速も出にくいフォームになってしまいます。
体の開きに関する動画↓
マウンドでの「並進(併進)運動」
先程、投球方向に真っ直ぐ「並進(併進)運動」することが大事とお伝えしました。
方向ももちろんですが、上下のブレも少ないほうが「並進(併進)運動」での力が大きくなります。
ですが、マウンドというのは傾斜があるので平らな地面よりも上下にブレずに「並進(併進)運動」することが難しいという人もいます。
上下のブレを少なくするためには、上半身が突っ込むのを抑え、タメを作る時間が必要です。
この「並進(併進)運動」の際のタメがフォームの中で最も重要と言っても過言ではありません。
体の開きを抑える練習法↓
タメを作る練習法↓
「並進(併進)運動」の練習方法
「並進(併進)運動」を練習するのに最も良い練習方法は反復横跳びです。
最初はスピードではなくいかに上下のブレや前後(開き)のブレができるかや重心の位置などを気にしながら行いましょう。
正しいフォームで回数を行うことができるようになれば投球の際にもブレが少なく投球することができるようになっていきます。
股関節を引き込み、スクワットポジションで反復横跳びを行うことが大切です。
最初は鏡の前で自分でチェックしながら行ったり、コーチやチームメイトにフォームを確認してもらいながら行うのも良いでしょう。
反復横跳びでの「並進(併進)運動」の練習法はこちらの動画から↓
正しい「回転運動」とは
回転運動=相互間の相対的位置を変えず、一定直線(回転軸)の周囲を回転する運動
どんなものでもそうですが、回転しているものには支点があります。
投球でも、支点を作り、支点がブレずに「回転運動」が行われることで、回転軸ができ、「回転運動」によって大きな力が生み出されます。
人によって、支点として意識すると良い部分は異なります。
例えば、
・左肩を支点にする
・ステップ足股関節を支点にする
・グローブを支点にする
・捕手側の腰を支点にする
などがあります。
色々試してみて自分に合った支点となる部分を見つけてみましょう。
グローブを支点にした腕の使い方についての動画はこちらから↓
「回転運動」は徐々に行う
レイトコッキング局面で骨盤から「回転運動」が始まります。
骨盤→胸郭→腕
と先端に行くにつれて少しずつ遅れて回転していきます。
投球は一瞬なので普通のスピードでは分かりづらいですが。スローカメラなどで撮影すると回転の遅れが見えると思います。
このズレのことを「捻転差」といい、「捻転差」は柔軟性、可動域、脱力などから生まれます。
投球においてこれもとても重要なポイントです。
「捻転差」に関する動画はこちらから↓
まとめ
今回は、「並進(併進)運動」と「回転運動」についての解説をしました。
どちらもボールに伝える力を生み出すのに非常に大切な動きであることがわかったと思います。
動画内の説明や練習方法もぜひ試してみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました!